Linezolid versus vancomycin or teicoplanin for nosocomial pneumonia:A systematic review and meta-analysis
Crit Care Med 2010;38:000-000(未出版のため)
抄録和訳
【背景】リネゾリドはグリコペプチドと比べて高い肺上皮濃度が得られるため院内感染肺炎の治療有効性を高める可能性があるが、臨床的な優位性は示されていない。
【目的】リネゾリドがグリコペプチドよりも優れているという仮説を検証する
【方法】RCT、院内感染肺炎にリネゾリドとバンコマイシンまたはテイコプラニンを比較。HeterogenicityはI2及びQ statisticsで分析。メターアナリシス相対リスクはfixed及びrandom-effect modelsに基づく。アウトカムは臨床的治癒、微生物学的撲滅、副作用で評価した。
【結果】9件のリネゾリド研究が対象(n=2329)でバンコマイシン7件、テイコプラニン2件であった。グリコペプチドと比較して、リネゾリドの相対リスクは、臨床治癒1.01(95%C.I. 0.93-1.10;p=0.83;I2=0%)、微生物学的撲滅1.10(95%ci 0.98-1.22;p=0.10;I2=0%)。MRSA限定サブグループは微生物学的撲滅は1.10(95%ci 0.87-1.38;p=0.44;i2=16%)。バンコマイシンのみと比較すると臨床治癒1.00(95%ci 0.90-1.12)、微生物学的撲滅1.07(95%ci 0.90-1.26;p=0.45)でMRSAの撲滅は1.05(95%ci 0.82-1.33;p=0.71)で差が無かった。これに対し血小板減少は1.93(1.30-2.87;p=0.001)、消化器イベントは2.02(1.10-3.70;p=0.02)でリネゾリドの方が高かった。腎機能障害0.89(0.56-1.43;p=0.64)と死亡率0.95(0.76-1.18;p=0.63)は差が無かった。
【結語】リネゾリドの臨床的な優位性は示せなかった。血小板減少や消化器イベントが増加した。バンコマイシンの方が腎機能障害と関連が深いとは言えなかった。
本文結語:非無作為化研究ではリネゾリドの優位さを示すデータ複数あり、消化器イベントRR 0.37とかも。いくらELF濃度が高くても、それだけでは何とも言えないってことか... orz
バンコマイシンにとって変わるものではなく、アレルギーで使えない患者のための代替手段として共存するだろう。
感想
リネゾリドは肺の局所濃度が高い!ってのが売り文句?らしいですが、これによると、バンコマイシンと全く同等ですね。それどころか副作用が血小板減少も消化器症状も2倍っていったい?
そもそも2010年までに出版されたリネゾリドとバンコマイシンの比較論文は82あり、このうちRCTは20、対象が市中肺炎だったりエンドポイントが安全性だったり、コストだったりするのを除いた9個のRCTが対象になっています。対象外が多いことも驚きです。客観的に比較した研究はそれほど多くないってことでしょうね。
リネゾリド情報に踊らされなくて良かったです。バンコマイシンを見なおしました。
0 件のコメント:
コメントを投稿