2010年4月19日月曜日

勤務医の「空白の1日」

私どもの麻酔科でも4月1日から新しい4名のスタッフを迎え、新しい6人体制となった。先月まで働いていたスタッフのうち7名が居なくなって戦力ダウンが心配されたが、最近当方慣れてきた。

先月退職したスタッフのうち、5名は常に勤務しているが、いわゆる非常勤職という立場だった。去年の4月1日彼らが雇用された時の辞令には「3月30日まで雇用する」と書かれているのに気づいたのは年度の途中で、3月は31日までのはずだから間違いに違いない、と思ったが、本当に3月30日までだった。

私の大学の麻酔科から赴任したスタッフに関しては、医局との交渉の結果、3月31日まで雇用されることになったが、残りのスタッフは30日のままだった。
衝撃だったのは31日の取り扱いで、この日は退職になるため、厚生年金から1日だけのために国民年金に切り替える必要があり、しかも医療保険は1日無職となるため、無保険である。病院の事務のおじさまは「1日だけですから、病気にならないように気をつけてくださいね」と説明したみたい。

このような30日退職医師は麻酔科だけでなく、院内に大量にいるため、当然のことながら3月31日は信じられないくらい少ないスタッフで業務をこなすことに。

この3月30日退職制度のキモは「経費削減」です。
3月30日退職、31日無職、4月1日採用を繰り返すことによって、
何年勤めても「勤続年数1年未満」となり、昇給なし、ボーナス微妙、退職金なし、となります。

大学医局が交渉した結果31日まで雇用されることになった麻酔科以外は、現在も30日退職と思われます。
事務からは、「他科の手前、麻酔科が31日まで雇用されることは口外しないでください」と言われています。
この病院だけでなく、この地区(南関東の某所)の病院は大昔からこの仕組らしく、一斉に改革とはいかないみたいです。なるほど、昔から医者を安く雇い続けた結果、現在しがらみに気兼ねなく就職や転職の自由が得られた現在とあっては、医療過疎となるのは当然の結果であると、確信しました。

この地区では太平洋に面した郡市の医療過疎が深刻で、新病院を作る計画などがあるようですが、このような経費削減制度では好んで雇われにくる常勤医師は皆無に決まっている。